殺しへの招待天藤真推理小説全集(6)

わたしは夫であるあなたを殺します。
女であれば誰しもが夫に抱く憎悪が、殺人にまでふくれあがったからです……。
五人の男に届いた妻からの殺人予告状。
本命の標的はその内の一人なのだが、それが自分でないと言い切れない夫たちは戦々兢々、疑心暗鬼に陥りながらも対策に頭をひねる。
追いつめられた男たちの前で事件は二転三転し……。
拉致され山荘に閉じ込められた初対面の「おっぺ」と「ピンクル」は、見知らぬ男の死体までしょいこむ破目に。
前夜の記憶を辿り、ニュースを聴くに及んで、抜き差しならない罠だと悟った二人は、突如爆発した山荘をどうにか脱出、度重なる危難を凌ぎながら事件の真相に迫ろうとするが……。
青春小説の清々しさを具えた、出色のサスペンス。
驟雨に洗われた坂道を疾走し、三途の闇に向かって崖縁を飛び越えた真新しいブルーの車体。
星影もない暗夜の出来事は,翌朝の陽光に惨たらしい名残をさらす――。
千葉県銚子の景勝屏風浦で非業の最期を迎えた四人は、謀殺の犠牲と断じられるにも拘らず、生前の交友関係を推し量るべくもない。
当局の捜査は次第に昏迷の度を加え、徒に日を送るばかり。
そして事件発生から一月……三度目の刑務所生活で、スリ師戸並健次は思案に暮れた。
しのぎ稼業から足を洗い社会復帰を果たすには元手が要る、そのためには――早い話が誘拐、身代金しかない。
雑居房で知り合った秋葉正義、三宅平太を仲間に、準備万端調えて現地入り。
片や標的に定められた柳川家の当主、お供を連れて持山を歩く。
……時は満ちて、絶好の誘拐日和到来。
三人組と柳川としの熱い日々が始まる!危篤状態の父親を安心させるため、数日間嫁のふりをしてくれたらお礼も弾む。
恋人早川の後輩大羽からの奇妙な依頼に、自分たちの結婚資金を生み出すため同意したみどりは、にせ花嫁になった大羽の実家へと向かったが……。
著者最後の長編に、初刊時に削除された原稿二百余枚を巻末に完全収録して、創作過程の一端が窺えるようにした。
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